【恐絵-kyoukai-】絵が語りかけてくるようで【考察】

ゲーム

2021.11.032022.01.26

気づいたときには、向こう側に自分がいるような錯覚を覚える。

※今回は考察記事となっております。苦手な方はご注意ください。

【考察】不気味な絵とお話の関係とは
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【考察】不気味な絵とお話の関係とは

　「境界線が曖昧になるんです。生と死の。」
　「人間の形をしているのに人間じゃないもの、っていると思いますか？」
　そんな言葉を発する作者さんの絵を解釈してみました。

花の絵

壁に飾ってある。
人物の中から何かが生まれるような気がする。
個展の壁に切れ目、隙間には目がびっしり、そこに腕を入れる。
絵には倒れる女性と、もう一人。

　この花の絵は他の３つの絵と違って、部屋に飾られていますね。
　眼底には何もなく、大きな穴が空いている。そして、腕や胴に目が多く生えている。
　目がないはずなのに、見られているような感じがする。

　女性は生きているように描かれているにも関わらず、手があることで、死者に献花している絵のようにも見える。
　この絵のテーマは「死と生の境」であるように思います。
　心臓部に多くの目があることから、死んでしまった女性は自らの目で見ることはできなくても、彼女の生きた証、心というのはこの世に残り、「いつもあなたを見ている」というメッセージを残しているのではないでしょうか。
　人物の中から何かが生まれるような気がする、というのは、生きている人の中から生まれてくる、生者の「私はここに生きた」というメッセージなのかもしれないですね。

　ラストシーンで、隙間に手を伸ばしたシーンを解釈してみると、主人公が行った個展には、作者のメッセージが多分に込められていたでしょうから、そこにあった作者の「境界が曖昧になる」というメッセージを多分に受け止めてしまったのでしょう。
　主人公が境界線に触れてみようとしているように思います。

下半身の少女の絵

クローゼットにしまいこんだまま。
呪われるような、何かが終わるような、強烈な恐怖に駆られていた。
幻覚が見え、町中を逃げ回る。
出口が侵食されている。

　この絵から主人公は「恐怖」を感じていました。
　そして、出口が侵食されているように感じていることから、この絵のテーマは「出口のない暗闇」みたいな感じでしょうか。
　絵の少女？も血まみれで上半身がなく、考える頭も無ければ、見通す目もない、そんな感じですからね。
　部屋についても、ボロボロで、まるで廃墟になった牢獄。
　傷つき、荒んだ心、かつ出口の見えない不安定さが主人公に伝わったのでしょう。

　だからこそ、主人公は何かに傷つけられるのではないか、という恐怖を伴った幻覚を見て、逃げ回っているのでしょう。
　しかし、出口が無いことに気づいたときにはもう遅く、逃げていたはずの恐怖が自分に追いついてしまった。
　クローゼットの中みたいに、心にしまい込んだとしても、自身の中にある恐怖は溢れてくるものですからね…。

木々とロープの絵

床に置いて、見えないようにひっくり返した。
絵が動き出しそうで眠れない。衰弱していった。
公園にあったロープに首をかける

　この絵のテーマは「身近にある死」でしょうか。
　絵を床に置いてひっくり返した、ということは、「死が足元に迫っていることに気づいていたにも関わらず、見るのを避けていた」や「死は見えないけれども、いつも身近にある」ということを表現しているように思います。
　絵に書かれてある手が「おいで、おいで」と死に誘う、そんな雰囲気を感じてしまったからこそ、この主人公は生と死の境界線に近づいていってしまったのかもしれません。
　その幻想から、身近な場所での死に誘われていった、主人公はどうなっていったのでしょう。
　その手に足を掴まれてしまってるのかもしれません。

ぐちゃぐちゃの顔の絵

捨ててしまった。
捨てても頭の中にずっと絵がある。個展の夢を見る。
絵が微笑んでいるように見え、手をのばす。

　この絵は、「思い出の君」がテーマでしょうか。
　捨ててしまったけれども忘れることはできない、という辺りから、昔出会った人との思い出を表しているように思います。
　昔、親しかった人は（友人であれ、彼氏・彼女であれ）今は会うことはなく、今では顔を正しく思い出すこともできない。
　だけれど、思い出のあなたはいつも微笑んでいて、いつも私のそばに居た。

　もしかしたら、死別した人がテーマなのかもしれませんけれども、死別したとしても、大切だった君の存在を忘れることはできずに、手をのばす、そんな主人公を表現しているような気がします。